アスペン・セミナーとは?

セミナー

アスペン・セミナーとは?

アスペン・セミナーは、優れた「古典」という素材と多様な参加者との「対話」を通して、自身の理念や価値観を見つめ直し、“価値に基づくリーダーシップ”を涵養するリベラルアーツ(教養)・プログラムです。

参加者が共に古典を読みながら、自分が考え、感じたことを、謙虚に、素直に出し合い、対話することを基本とし、「著者との対話」、「参加者との対話」、そして「自己との対話」を重ねます。

単に新たな知識を獲得する「古典学ぶ」姿勢ではなく、「古典学ぶ」姿勢、つまり、幅広い知や価値観に触れることで自己の限界を察し、謙虚にふるまうことのできる心の豊かさを養おうとする姿勢で、「よく生きる」とは何かを探ります。

そうすることで、“価値に基づくリーダーシップ”、即ち、自らの権力や知識で他者を圧倒し従わせようとするのではなく、多様な価値への気づきをもとに、他者とよりよい関係性を築き、自ら義務と責任を負う人間への自己変革を希求するリーダーを目指します。

アスペン・セミナーの特徴

アスペン・セミナーの実際の運営においては、以下の特徴があります。

  • 世界、日本、自然、哲学、政治、宗教、芸術、ヒューマニティ、デモクラシーなど、多面的・横断的な思索を可能とするセッション構成。
  • 十数名の参加者に対し、日本を代表する碩学のアカデミアや経営者3~4名が対話をサポート。
  • 一定期間仕事を離れて、合宿による濃密な「対話」の「場」の共有、業種を超えた同期会ネットワークの形成、対話の継続。
対話の風景

古典と対話、そしてその効用

古典(クラシクス)の語源は、古代ローマの「艦隊」を表す“クラシス”に遡り、国家の危機を救うために「艦隊」を寄贈できる富裕市民を“クラシクス”と呼んだことに由来します。その語が転じて、「人間が精神の危機に直面したとき、生きる力を与えくれる書物」を指すようになりました。 古典が提示する重要な価値観は、例えば、以下のような観点から、 現代の私たちにも重要な示唆となり得ます。

  • 私たちが当然視している価値観を根源的・哲学的に問い直す
  • 私たちが気づいていない価値観、軽視していた価値観を再認識する
  • 他者の心の機微を察する想像力と、共感を生み出す力を鍛える
  • 論理を超えた美的価値への感度を高める
  • 自己や人間存在の小ささに気づき、謙虚さと偉大なるものへの畏敬の念を育む

対話(Dialogue)とは、価値観やバックグラウンドが異なる者同士が、お互いの人間性を尊重しあう中で、自らの見解を臆することなく率直に述べあい、また相手の話を傾聴し、異なる見解があっても即座に否定するのではなく、その違いの根底にあるものに思いをいたしつつ、自らの価値観をも相対化して内省する、そういったプロセスを通して相互理解を深めることです。
その意味で、結論を求める議論(Discussion)とも、勝敗を決める討論(Debate)とも異なります。このような対話が実現できれば、多様な意見を聴くことで自己の認識の限界を超え、謙虚となり、視野を広げることにつながります。

北山 禎介写真

いま求められる“リーダー像”とは

いま、リーダーには以下のような力が求められていると、私たちは考えています。

  • 判断し行動するための、深い『洞察力』と『価値軸』
  • 多様な世界へと『視野』を拡げ、『理想』を構築する力と、人間的魅力
  • 謙虚に『内省』し、寛容に『対話』に臨む力

※価値軸:人間観、自然観、世界観、歴史・国家観、法意識、死生観、宗教観や芸術観など

アスペン・セミナーでは、古典の知恵と深い対話を通して、こうした力を涵養することを、“セミナーの狙い”としています。

何故このようなリーダーが必要とされるのか?:“アスペン精神”と呼ばれる問題意識を礎として

日本アスペン研究所の活動は、以下に示した三つの思想に総括される、「アスペン精神」と呼ばれる問題意識と考え方に支えられています。そしてこれらの問題は、現代社会や組織において、ますます顕著かつ喫緊の課題となっており、上記のような資質を持ったリーダーこそが、こうした問題を本質的に克服していけると考えています。

「瑣末化を超えること」

アスペン精神においてまず掲げられているのが、“瑣末化”、即ち、自らの専門分野だけに関心を持つ無教養な専門家の脅威という問題意識です。現代企業・組織においても、“瑣末化”は深刻化しており、直面する問題への対応が全体像をもって行われず、弥縫策となることも稀ではありません。この問題に立ち向かうためには、幅広く、全体観をもって提示されている古典の知恵に学び、視野を広げ洞察力を養うことは、大きな効果を持つでしょう。

「明確な価値観に裏付けられた実践、そして深考」

現代の日本社会の様々な問題の根源には、「精神的拠りどころの脆弱さ」や「深い教養が不足していること」にあるとの認識が、アスペン精神に流れています。大きな変化のまっただ中にある現代企業・組織においても、手本のない変革を遂行していくためには、慣れ親しんだ従来の価値観を問い直しつつ内省し、深い教養に裏付けられた新たな精神的拠りどころとしての“価値軸”を形成すること、更には未知の領域に踏み込んでいく勇気が求められ、そのためにも古典と対話が有効だと考えています。

「“対話の文明”の構築」

相互の尊敬と理解を前提とし、信頼の絆で結ばれた“対話の文明”が、人類を一つに結び永続的な平和を実現するために必要だと、私たちは考えています。現代企業・組織においても、質の高い意思決定を持続的安定的に行うには、多くの組織構成員が深い対話のもとで、自律的、内発的に考え、動けるような風土づくりが欠かせません。こうした対話を重視した風土づくりには、それを率いていくリーダーが、相互を尊重しあう人間観のもとに、理想を示しつつ、対話によってフォロワーに働きかける姿勢を示すことがカギとなります。