モデレーターとリソース・パーソン

セミナー

モデレーターとリソース・パーソン

アスペン・セミナーの各セッションは、深い学識や、官界・実業界で培った豊富な知見を持つ講師陣が支援します。
「モデレーター」は、参加者間の対話を活発化させると同時に、話の流れを適切な方向に導きます。
「リソース・パーソン」は、各専門の立場から対話の質を高め、実り多きものとするために助言を行います。
当セミナーでは、下記の先生方を中心に「モデレーター」、「リソース・パーソン」をご担当いただいています。

村上 陽一郎写真

村上 陽一郎東京大学 名誉教授・国際基督教大学 名誉教授

参加者が、古今東西のテクスト群を共通に熟読した上で、その成果を、実際に個人が顔を合わせるセミナー上に対話として繰り広げる、というアスペンの形式は、かなり特異な体験を味わう機会となります。参加者と違って、司会役として回を重ねているはずのモデレーターとしても、毎回一回限りの極めて刺激的な経験になるのです。そのことは、企業からの後ろ盾で初めてセミナーに出られた方が、その後何回も、御自分の意志で、同じセミナーに参加される、という事例が数多いことでも確かめられると思います。
また、企業や組織に関わっておられる方々ばかりでなく、高等学校の生徒たちを対象に、同じ方式のセミナーが広がっていることも、セミナーの持つ力を裏書してくれています。
世界と日本、個人と社会、人間性の本質など、現代人が通り過ぎてしまえないテーマについて、叡智を集めたテクスト群と取り組むことは、セミナーの準備としてだけではなく、社会に出て、忘れかけていた「読む」という行為自体、あるいはそれに伴って生じる「語る」という行為自体の魅力を再現してくれます。それを充分過ぎるほど味わうことができるセミナーとして、参加して下さる方々をお待ちしています。

関根 清三写真

関根 清三東京大学 名誉教授

アスペン・セミナーに集うリーダーの皆様は日々、組織をリードする稀有の時間を喜び楽しむとともに、様々な困難に立ち向かい闘っておられます。その闘いが、組織に、その組織に集う一人ひとりに、またその家族に、ひいては広く世界に、平和をもたらす道筋となることを信じつつ。そしてアスペン・セミナーは、この「喜び」と「困難」をコンパクトな形で経験する、一つの雛形となると私は考えております。
セミナーには様々な組織の優れたリーダーの方々が参加してくださり、夫々の分野からの多様な見方を率直に語られます。これが楽しく有意義で、「喜び」でない筈がありません。談論風発、至福の時が自ずと現出します。
また古典のテキストは、しばしばリーダーが直面する「困難」について語ります。参加者の皆様は困難をめぐって人類が考え行動して来たことの蓄積と智慧の重さに息を呑み、様々な示唆と気付きを与えられる経験をされます。
思えば、不思議なことです。セミナーで私どもは研修所の一室に籠って対話を数日間繰り返しますが、そこに居ながらにして、多様なリーダーたちと邂逅し、世界一周の旅をし、さらに、古代から現代に至る歴史の旅をするのです。願わくは、この「喜び」と「困難」を巡る、時空にまたがる壮大な旅を、いつか御一緒する機会がありますことを!

押村 高写真

押村 高青山学院大学 名誉教授

アリストテレス、ロック、カント、トクヴィルの著作を読むたびにわれわれは、いかに狭い時間軸、空間軸でしかものを考えてこなかったかを、思い知らされます。また、哲学や文芸作品に触れることにより、身を置く職場や業界全体が、「人間とは何か」を忘れて専門化・技術化の罠に陥っていることを自覚するひともいるでしょう。
ビジネス・リーダーにとって、自己の拠って立つ価値観や世界観が、どのようなバイアスを帯びているかを知ることは重要です。このアスペン・セミナーに参加したリーダーたちの多くも、古今東西のテクストが提起する「普遍的な問い」への解答を探し求めることで、自己についてよりよく理解し、人生やビジネスの目標を再設定するためのきっかけを掴みました。さらに、モデレーターの問い掛けをもとに他の参加者と討議を行うなかで、各界のリーダーたちの奉ずる価値観が多様であることを再認識してきました。
セミナー期間中に味わった濃密かつ非日常的な体験は、後の人生の道しるべとなり、ビジネスにおいてもイノヴェーションやブレイクスルーをもたらしてくれることでしょう。

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    石井 洋二郎東京大学 名誉教授・中部大学 名誉教授

  • 猪木 武徳写真

    猪木 武徳大阪大学 名誉教授

  • 大橋 容一郎写真

    大橋 容一郎上智大学 名誉教授

  • 荻野 弘之写真

    荻野 弘之上智大学 教授

  • 苅部 直写真

    苅部 直東京大学 教授

  • 瀧 一郎写真

    瀧 一郎大阪教育大学 名誉教授

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    堂目 卓生大阪大学 社会ソリューションイニシアティブ特任教授

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    橋本 典子青山学院女子短期大学 名誉教授

  • 御子柴 善之写真

    御子柴 善之早稲田大学 教授

※各界の優れた方にもモデレーター、リソース・パーソンをご担当いただいています。氏名五十音順・敬称略

本間先生・今道先生のメッセージ

日本アスペン研究所が今日あるのは多くの先達のご尽力によるものです。とりわけ、本間長世先生と今道友信先生には広い視野と見識をもつリーダーの育成に向けて、溢れる情熱と卓越した知力で日本アスペン研究所の確たる礎をお創りいただきました。

アスペン・セミナーによって鍛えられる教養

本間 長世日本アスペン研究所 元副理事長 / 東京大学 名誉教授 (1929~2012)

アスペン・セミナーによって鍛えられる教養は、自己の専門以外の分野についての小間切れの知識を仕入れるというようなものではありません。人間は、様々な文化ないし文明の伝統を通じて、人間存在の意味をどうとらえてきたか、それを踏まえてこれからどのような理念に向かって進んでいくべきかを考える力を養い、対話を通じて自己理解および他者理解を深めるという内容の教養なのです。その意味で、企業人に限らず、広く各界のリーダーたちにとっても非常に有用なセミナーです。
しかし、企業のリーダーたちにとってこのような意味での教養が切実に求められているのは、21世紀に入って世界は危機的状況にあり、これに対処すべき政治家の責任は極めて重いけれども、企業人もこれまでより飛躍的に広い視野に立って、人類の未来を見据えて事業を展開することを迫られているからに他なりません。

本間 長世写真

謙虚であると同時に挑戦的な営み

今道 友信日本アスペン研究所 元特別顧問 / 東京大学 名誉教授(1922~2012)

アスペン精神は哲学的な考察について対話を重ねるということです。ソクラテスは哲学について「哲学は魂の世話だ」と分かりやすく定義しています。現代人はひとりの教養人として常識的な哲学を学んでおかないと、自分の魂の世話をできなくなります。魂の世話の方法論は、哲学的な古典を読み、そこから問題を引き出し、感じたことを述べ合う方法で他者と対話を始めることが有効です。対話とは、人ときちんと向き合って、共通した問題を語り合うことです。アスペン・セミナーで使われる古典の著者は大変な学者や詩人や政治家ですから、そういう人たちの知識を土台にして、私たちが少しずつ自分を高めていき、一歩ずつでも真理に近づくことができるのではないかと思います。
一見、遠回りに見えますが、これは未来を考えるうえで必要なことです。なぜなら、人間が偏った儲け主義や国家主義、会社主義とか利己主義や帰属集団主義などに振り回されずに、人類の立場に立っていい未来をつくり上げていくよりよい学問や、よりよい事業を創造していくことにつながる規範と理念を、古典は教えてくれるからです。古典は人類の宝物ですから、セミナーでの対話を通して、それを内的に学び、そして新しい時代に、新しい未来を切り拓いていくという謙虚であると同時に挑戦的な営みができるのではないかと思います。

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